アドバイザリ事業

ECU系車載ソフトウェアの状況

ECU系車載ソフトウェア(以下、SW)開発は、厳しい規格への対応や新機能・新技術の開発といった課題に直面し、グローバルな競争時代に突入しています。これにより、従来の開発手法から変革が求められる時代になっています。そのため、深刻なエンジニア不足となっています。

規格

  • 品質規格    IATF16949
  • 機能安全規格  ISO26262
  • プロセス規格  Automotive SPICE
  • アーキテクチャ AUTOSAR

新機能・技術

  • EV, BEV
  • ビークルAPI
  • E/Eアーキテクチャなどに対応したSDV (Software Defined Vehicle)
  • 自動運転
  • OTA (Over The Air)
  • Security

SW設計の課題

SW状況の変化に伴い、SW設計の増加した結果、以下の課題が挙げられます。

  1. 優優秀なSW設計者の不足
  2. SW品質の低下
  3. 採用人材の教育不足
  4. SDVやOTAなどの技術対応
  5. セキュリティ対応

これらの課題により、手戻りの増加や品質のさらなる低下、人材の流出が発生し、結果としてSW人件費の増加や開発期間の長期化といった深刻な問題を引き起こしています。

アドバイザリ事業

アドバイザリ事業では、OEM様およびTire1様、Tire2様向けのECU系車載ソフトウェア(以下、SW)設計に関するアドバイザー業務を行っています。

アドバイザー業務の概要

当社のアドバイザー業務は、SW設計の課題に対して、SWE.1~SWE.3の具体的なプロセスの改善アドバイスを行い、次のような効果を得ることができます。

効果

  1. SWE.1の分析によるSWE.2およびSWE.3の迷走防止および手戻り防止
  2. SW設計プロセス毎の設計・検証観点の明確化によるSW設計品質の確保
  3. SWのスパゲティ防止およびSWコンポーネントの再利用性向上
  4. SW設計のAI化に向けた学習データや特徴量の最適化に寄与

アドバイスポイント:SW設計プロセス

SW設計プロセスのアドバイスの概要は、次の通りです。詳細なプロセスを定義することで、経験が少ない方でも効率良くSW設計が行えるようにアドバイスいたします。

SWE.1 SW要求分析

本項は、当社が勧めるソフトウェアエンジニアリングプロセス(SWE).1 SW要求分析の詳細プロセスのアドバイスポイントです。

SWE.1 SW要求分析は、SWEプロセスの中でも最も重要なプロセスです。SW要求分析の粒度や正確さによって、SWE.2以降のプロセスの工数や品質が大きく左右されます。そのため、下表のように丁寧にSW要求分析を行うことを推奨します。

SWE.1詳細プロセス概要反映プロセス群
1SW要求打合せ要求元からSW要求仕様の説明打合せSYS.3 SYSアーキテクチャ設計
2SW設計書の基本情報抽出SW要求仕様書からSW設計書の基本情報に反映ALL
3SW要求目的の抽出SW要求仕様の目的を把握SWE.6 SW適格性確認テスト
4SW要求仕様の分類SW要求仕様を次のように分類
– 新規:追加、変更、削除
– 流用:追加、変更、削除
SWE.2 SWアーキテクチャ設計
SWE.3 SW詳細設計
5SW仕様の変更点抽出ベースSW仕様からの変更点を整理SWE.2 SWアーキテクチャ設計
SWE.3 SW詳細設計
6SW要求目的と変更点の検証SW要求目的と変更点が合致しているか検証SYS.3 SYSアーキテクチャ設計
7変更点の影響範囲の検証変更点の影響範囲が目的と合致しているか検証SYS.3 SYSアーキテクチャ設計
8SW状態への影響確認SW状態および遷移条件、遷移処理への影響を確認SWE.2 SWアーキテクチャ設計
9SWアーキテクチャへの影響確認次の影響を確認
– SWコンポーネント構成
– SWコンポーネント間インタフェース
SWE.2 SWアーキテクチャ設計
10プログラムファイル抽出変更点から対象となるプログラムファイルを選択SWE.3 UNIT構築
11const定数への影響確認const定数への影響を確認SWE.3 SW詳細設計
12#define定数への影響確認#define定数への影響を確認SWE.3 SW詳細設計
13SW開発計画書へ反映SW開発計画書に反映管理プロセス群(MAN)に反映
14SWE.1 レビュー以上の結果をレビューSWE.1

赤文字:手戻り

SWE.2 SWアーキテクチャ設計

本項は、当社が勧めるSWE.2 SWアーキテクチャ設計の詳細プロセスのアドバイスポイントです。

SWE.2 SWアーキテクチャ設計は、下表のようにSW状態遷移設計およびSWコンポーネント構成設計、SWコンポーネント間インタフェース設計を行います。

SWE.2詳細プロセス概要反映プロセス群
1設計前打合せSWE.1 SW要求分析結果を基に次の打合せ実施
– SWE.2 設計プロセス選択
– SWE.2 設計観点
SWE.2
2SW状態遷移設計SWE.1 SW要求分析結果を基に次の設計実施
– SW状態Layer毎のSW状態遷移図・表の検討
– SW状態遷移時の処理内容の検討
– 状態遷移時における静的変数の初期値の検討
SWE.3 UNIT設計
3SWコンポーネント構成設計SWE.1 SW要求分析およびSWE.2-2 SW状態遷移設計の結果を基に次の設計実施
– SWコンポーネント属性の設定
– SWコンポーネントの処理タイミングの設定
– SW状態毎のSWコンポーネント構成
SWE.3 UNIT設計
4SWコンポーネント間インタフェース設計SWE.1 SW要求分析およびSWE.2-2 SW状態遷移設計、SWE.2-3 SWコンポーネント構成設計の結果を基に次の設計実施
– SWコンポーネント間インタフェース変数の抽出
– SWコンポーネントの処理順番の設定
SWE.3 UNIT設計
5SWE.2 設計レビュー以上の結果をレビューSWE.2

赤文字:手戻り

SWE.3 SW詳細設計およびUNIT構築

本項は、当社が勧めるSWE.3 SW詳細設計およびUNIT構築の詳細プロセスのアドバイスポイントです。

SWE.3 SW詳細設計およびUNIT構築は、下表のようにSW UNIT設計およびconst定数設計、#define定数設計、File構成設計、コーディングを行います。

SWE.3詳細プロセス概要反映プロセス群
1設計前打合せSWE.1 SW要求分析およびSWE.2 SWアーキテクチャ設計の結果を基に次の打合せ実施
– SWE.3 設計プロセス選択
– SWE.3 設計観点
SWE.3
2SW UNIT設計SWE.1 SW要求分析およびSWE.2 SWアーキテクチャ設計の結果を基に次の設計実施
– SW UNIT構成設計
– SW UNIT間インタフェース設計
– -SW UNIT仕様設計
SWE.3-5 File構成設計
SWE.3-6 コーディング
3const定数設計SWE.1 SW要求分析およびSWE.3-2 SW UNIT設計の結果を基にconst定数設計実施SWE.3-6 コーディング
4#define定数設計SWE.1 SW要求分析およびSWE.2 SWアーキテクチャ設計、SWE.3-2 SW UNIT設計の結果を基に#define定数設計実施SWE.3-5 File構成設計
SWE.3-6 コーディング
5File構成設計SWE.1 SW要求分析およびSWE.2 SWアーキテクチャ設計、SWE.3-2 SW UNIT設計の結果を基にFile構成設計実施SWE.3-6 コーディング
6コーディング上記の結果からコーディングSWE.3-7 コード変更点検証
7コード変更点検証コードの変更点検証SWE.3-6 コーディング
8レビュー以上の結果をレビューSWE.3

赤文字:手戻り

アドバイスポイント:SWコンポーネントの属性

SWコンポーネントのアドバイスの概要は、次の通りです。SWコンポーネントの属性を明確にすることでSWの再利用性が向上できるようにアドバイスいたします。

要求元系統SWコンポーネント属性
OEMDiagnosis系– 標準診断
– Diagnostic trouble code(DTC)
– 自己診断器
– 通信Fail-Safe
リプロ系– リプロ
– OTA
通信系– OTA
– ECU間ネットワーク
– ECU間プロトコル
– テレマティクス間
車両系– 標準機能
– 車種別機能
– グレード別機能
– 仕向け地別機能
– 通信情報MAP
System PartsControl系– System parts Control
– System parts Control Fail-Safe
Sensing系– System parts Sensing
– System parts Sensing Fail-Safe
ECU電源系– 回路
– 回路Fail-Safe
– IC
– IC Fail-Safe
入力系– 回路
– 回路Fail-Safe
– IC
– IC Fail-Safe
出力系– 回路
– 回路Fail-Safe
– IC
– IC Fail-Safe
通信系– 回路
– 回路Fail-Safe
– IC
– IC Fail-Safe
MCU系– External Function
– External Function Fail-Safe
SWRTOS系– SW状態遷移
– SW状態遷移 Fail-Safe
– Task Dispatcher
– Task Fail-Safe
– 割込み
– 割込み Fail-Safe
MCU系– Internal Function
– Internal Function Fail-Safe
– Memory
– Memory Fail-Safe

他にも色んなアドバイスポイントがあります。何かご不明点やご要望がございましたら、どうぞお気軽にお問合せからご連絡ください。

組込みノウハウ

OSS-ECALサイトで、組込み技術やノウハウについて紹介しています。こちらをご参照ください。

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